特集 最新治療薬ガイド1990
Ⅳ.周産期用薬剤
9.RDSの治療薬
藤原 哲郎
1
1岩手医科大学医学部小児科
pp.1107-1108
発行日 1990年12月10日
Published Date 1990/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900226
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□サーファクテン
サーファクテン(surfactant-TA)は世界に先駆け,わが国で研究開発された唯一の新生児呼吸窮迫症候群(RDS)の治療薬である。RDSは肺表面活性物質(肺サーファクタント)欠乏のため肺胞の拡張が困難で,生後間もなくより呼吸不全に陥る。人工的に陽圧で肺を膨らませてもサーファクタント欠乏状態では呼気時には再びつぶれてしまう。サーファクタントで被覆されていない肺胞および肺胞管上皮細胞は剥離し,血液成分の肺胞腔への漏出,出血などがおこり,硝子膜形成に至る。サーファクタントを経気道的に投与し肺胞壁を被覆してやると,その表面活性により肺胞の安定性が確保され,人工換気に要する圧と酸素濃度を低く保つことが出来る。
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