臨床メモ
前・早期破水とRDS
竹内 久彌
1
1順天堂大学産婦人科
pp.635
発行日 1976年8月10日
Published Date 1976/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205458
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前・早期破水の合併症としてこれまでもっとも危険視されているのは母児への感染であり,このため長時間この状態を放置することは避けるべきであると考えられてきた。
ところが,一方で未熟な胎児の出生後のRDS発生が問題となり,これと破水との関連に注目している報告が現われてきている。たとえばRichardson ら(Am.J.Obstet.Gynecol.118,1115,1974)は妊娠36週以前に2,268g以下の体重で生まれた単胎児で,前・早期破水以外に合併症のない64症例を対象として,破水より出産までの時間とRDS発生頻度を検討している。破水後出産までの時間が24時間以内の42例を第1群とし,24時間以上の22例を第2群とすると,RDSは第1群〜27例(64%),第2群に7例(31%)に発生しており,明らかに破水より出産までの時間の経過したものにRDS発生が少ない結果であった。しかも第2群においてその時間とRDS発生頻度の関係をみると,72時間を過ぎた例にRDSが減少する傾向がみられたという。また羊水中のL/S比を破水後に継続測定してみると,その時間的経過に従った上昇がみられたのである。これらの結果からRichardsonらは破水による何らかの影響で胎児肺の成熟が促進されるものと考えている。
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