臨床メモ
RDSに対する交換輸血療法
竹内 久弥
1
1順天堂大学産婦人科
pp.172
発行日 1974年2月10日
Published Date 1974/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205005
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胎児血であれ成人血であれ,赤血球の持つ第一の機能は酸素の運搬にある。ところが,胎児赤血球と成人赤血球との間には相違があり,酸素との親和性を見ても前者が高い。ヘモグロビンの透析実験では胎児血も成人血も酸素親和能が等しいので,この差は別の因子によるものと考えられ,その因子の一つとして有機燐酸塩,ことに2,3—DPGが有力な存在と考えられるに至つた。すなわち,ヘモグロビンは酸素を末梢に運ぶだけでなく,そこで酸素を放出せねばならず,そのためには2,3—DPGの存在が必要となる。ところが胎児ヘモグロビンの2,3—DPGに対する親和性は成人のそれに比して低いこのことは母体ヘモグロビンに酸素供給源をあおいでいる子宮内環境では合理的でも,いつたん肺呼吸の開始された子宮外環境での低酸素血状態では不利な条件となる。
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