症例
卵巣成熟奇形腫に対する腹腔鏡下卵巣囊腫摘出術後に生じた化学性腹膜炎・皮下膿瘍の治療に難渋した高度肥満の1例
北島 遼
1
,
高田 友美
1
,
澤本 康平
1
,
上杉 俊太郎
1
,
山本 実咲
1
,
大久保 理恵子
1
,
尾上 昌世
1
,
吉岡 恵美
1
,
後藤 摩耶子
1
,
堀 謙輔
1
,
伊藤 公彦
1
1関西ろうさい病院産婦人科
pp.645-650
発行日 2024年7月10日
Published Date 2024/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211300
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▶要旨
卵巣成熟奇形腫の手術中に囊腫内容物が漏出することは稀ではなく,化学性腹膜炎の誘因となりうる.今回,卵巣成熟奇形腫摘出術の際の囊腫被膜破綻に起因する術後化学性腹膜炎と創部感染により,治療に難渋した1例を経験したので報告する.
38歳,0経妊,BMI 49.右8cm大,左10cm大の両側卵巣成熟奇形腫に対し,腹腔鏡下卵巣囊腫摘出術を実施した.術中に囊腫が被膜破綻し,脂肪成分と毛髪が漏出した.腹壁が厚く,右下腹部のポートが頻回に抜去し,再挿入を余儀なくされた.術後4日目に,炎症反応上昇と腹部造影CTにて子宮周囲および皮下に液体貯留を認めた.化学性腹膜炎および創部感染と診断して抗菌薬投与を開始したが,入院期間は28日間に及んだ.術後37日目に外来にて,皮下膿瘍に対して穿刺,排液を行った.抗菌薬投与を計2か月間,創部洗浄を計8か月間行い,治癒した.
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