増刊号 産婦人科医のための緊急対応サバイバルブック
Ⅲ. 産科編
❶症状・所見からみた疾患鑑別
妊娠中期以降の妊婦の性器出血をどう鑑別診断する?
高橋 宏典
1
1自治医科大学産科婦人科学講座
キーワード:
前置胎盤
,
子宮頸管ポリープ
,
切迫早産
Keyword:
前置胎盤
,
子宮頸管ポリープ
,
切迫早産
pp.214-218
発行日 2024年4月20日
Published Date 2024/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211229
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遭遇しやすい典型ケース
40歳,初妊.不妊クリニックで凍結融解胚移植(顕微授精,胚盤胞移植)により単胎妊娠が成立した.既往歴は特にない.順調に経過していたが,妊娠24週6日の妊婦健診で全前置胎盤の状態であることが認識されていた.妊娠26週4日に性器出血のため,救急外来を受診.腹痛は認められなかった.腟鏡診上,腟内には新鮮な出血の貯留がみられた.経腟超音波上,後壁主座の部分前置胎盤(図1)で,子宮頸管長は40mmと正常であった.ノン・ストレス・テストではreactiveで,不規則な子宮収縮が認められた.出血が持続していたため入院管理とし,リトドリン塩酸塩の点滴治療が開始された.ベタメタゾンについては出血がおさまりつつあったので,投与されなかった.
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