増刊号 産婦人科医のための緊急対応サバイバルブック
Ⅱ. 婦人科編
❹オンコロジック・エマージェンシーへの対応法
腫瘍による脊髄圧迫
小林 佑介
1
1筑波大学医学医療系産科婦人科学
キーワード:
脊髄麻痺
,
緊急MRI検査
,
24時間・48時間
Keyword:
脊髄麻痺
,
緊急MRI検査
,
24時間・48時間
pp.177-181
発行日 2024年4月20日
Published Date 2024/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211222
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74歳,2妊2産,卵巣漿液性癌ⅢC期.4年前にprimary debulking surgeryが行われ,腹腔内播種や骨盤および傍大動脈リンパ節転移を認めたが播種巣を含め全切除できcomplete surgeryとなった.そののちに補助化学療法と維持療法により治療継続するも再発を認め,化学療法5th lineまで行い病勢制御を試みるも増悪していた.直近のCT検査では膵体部,肺,肝臓表面,頸椎・胸椎・両側肋骨・左恥骨・両側大腿骨の骨幹部に再発巣を認めていた.今後の治療方針を外来で相談していたが,背部痛が増強したため緊急入院し,オピオイド製剤で疼痛管理を行った.入院後3日目に排尿・排便障害が出現したため,緊急でMRI検査を行ったところ第4,第5胸椎後方に溶骨性変化を認めたことから脊椎転移腫瘍が脊柱管内に進展したことによる脊髄圧迫と診断した.オンコロジック・エマージェンシーと判断し,翌日より第2〜第7胸椎に対して緊急で姑息的放射線照射を行った.さらに,入院後7日目には両下肢の対麻痺が出現したため,ステロイドパルス療法も併用した.放射線療法および薬物療法により背部痛は軽減したが膀胱・直腸障害や麻痺症状は残存し,ADLの低下とともに細菌性肺炎を合併したことで永眠された.
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