症例
エストロゲン補充療法後に再発した後腹膜平滑筋腫にアロマターゼ阻害薬が奏効した1例
吉池 奏人
1
,
森川 めぐみ
1
,
長井 友邦
1
,
高野 宏太
1
,
高木 緑
1
,
戸田 文香
1
,
高木 靖
1
1諏訪赤十字病院産婦人科
pp.252-257
発行日 2024年3月10日
Published Date 2024/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211165
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▶要旨
症例は43歳,0経妊の女性.巨大な骨盤内腫瘤で精査したところ,大腸癌の併存を認めた.開腹手術で内性器と一体化した後腹膜腫瘍の摘出とS状結腸切除術を施行した.病理検査ではStageⅠの大腸癌を認め,後腹膜腫瘍は平滑筋腫の所見であった.術後の卵巣欠落症状に対してエストロゲン補充療法(ERT)を施行したところ骨盤内に再発し,ERTを中止して再手術を行い,富細胞性平滑筋腫の診断となった.その後,再々発したが,アロマターゼ阻害薬を投与し約1年縮小を維持している.
本症例で再発を繰り返した要因として手術時の腫瘍細胞の飛散やエストロゲン刺激の関与が考えられ,腹膜播種性平滑筋腫症の発症様式と一致する.ホルモン感受性を示す閉経後の平滑筋腫瘍の治療にアロマターゼ阻害薬が選択肢の1つになりうる.
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