特集 神経系に作用する薬物マニュアル1998
Ⅳ.代謝的に作用する薬物
アロマターゼ
沼澤 光輝
1
Mitsuteru Numazawa
1
1東北薬科大学第一薬品分析学教室
pp.475-477
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901642
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アロマターゼはアンドロゲンのアンドロステンジオンやテストステロンを,エストロゲンのエストロンやエストラジオールに変換するP-450酵素である。本酵素は503個のアミノ酸からなる分子量55kDaの蛋白で,小胞体に局在し,ほかのP-450との構造上の相同性は低い。本酵素の阻害剤はエストロゲン産生を選択的に抑制することから,乳癌,子宮癌,子宮内膜症,子宮線維腫,前立腺の癌や肥大症などのエストロゲン依存性疾患に適応できる。
アロマターゼ活性は胎盤,卵巣,精巣や脂肪組織などにみられ,閉経前の女性では卵巣が,一方,閉経後は脂肪組織がエストロゲンの主な産生臓器となる。アロマターゼはフラビン蛋白NADPH-P-450還元酵素を経由してNADPHより電子を受け取り,3回連続してアンドロゲンの19位メチル基を酸素化する。このとき3分子のNADPHと3分子の酸素が要求されるが,19-ヒドロキシ体→19-オキソ体を経て19-メチル基がギ酸として脱離するとともに,1β,2β水素が立体選択的に除去され,エストロゲンが産生する。
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