今月の臨床 生殖医療・周産期にかかわる法と倫理―親子関係・医療制度・虐待をめぐって
新しい家族のかたちをめぐる諸問題
代理懐胎によって出生した子の親子関係
南 貴子
1
1香川県立保健医療大学保健医療学部
pp.529-535
発行日 2022年6月10日
Published Date 2022/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409210717
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●代理懐胎を規制する法制度は,商業的代理懐胎を認める場合,利他的代理懐胎のみを認める場合,代理懐胎を禁止する場合など,国や州によって異なっている.
●オーストラリア・ビクトリア州では,性別や性的指向,婚姻状態に関係なく,利他的代理懐胎が認められており,代理懐胎は新たな親子関係の形成につながっている.
●利他的代理懐胎を認めるビクトリア州では,代理懐胎者が生まれた子の親となるが,代理懐胎依頼者は裁判所の親決定命令によって子と親子関係を成立させることができる.
●代理懐胎は,女性の身体の搾取・商品化につながる倫理的問題のほかに,代理懐胎者や配偶子ドナーの情報開示など,子の出自を知る権利にかかわる問題も含んでいる.
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