増刊号 産婦人科患者説明ガイド―納得・満足を引き出すために
婦人科疾患
子宮筋腫に対して薬物治療を行うにあたっての患者説明
篠原 康一
1
1愛知医科大学産婦人科学講座
pp.260-265
発行日 2021年4月20日
Published Date 2021/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409210368
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必ず説明しておくべきこと
◆子宮頸部細胞診や体部細胞診の結果,悪性所見はないのか? ほかに考慮する子宮疾患(筋腫なのか,肉腫の否定)が必要.
◆血液の凝固障害をきたす基礎疾患がないか(血小板減少や凝固異常など).
◆エストロゲン・プロゲスチン(EP)配合薬は子宮筋腫を原因とする過多月経に有効であるが,適応にならないか? 35歳以上,1日15本以上の喫煙や前兆を伴う頭痛など,同剤の禁忌にあたらないか?
◆レボノルゲストレル放出子宮内システム(LNG-IUS)では子宮筋腫の存在により自然脱出することがあり注意を要する.また内腔に変形を伴う症例には使用できない1).
◆閉経間近で,血中卵胞刺激ホルモン(FSH)が比較的高値であれば,性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アゴニストによる自然閉経への逃げ込みが期待できるため,閉経まであと何年あるのか,手術時期までどのくらいかを考慮する〔特にGnRHアゴニスト(GnRHa)の使用期間が6か月,また再使用までに6か月間の間隔をあけると限られているため〕.圧迫症状や貧血症状を改善する.
◆挙児希望の有無について確認することが重要.排卵を抑制すれば妊娠はできない.
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