連載 FOCUS
〔シリーズ〕産婦人科と先端テクノロジー
AI技術を応用したTime Lapse画像の自動解析による受精判定研究
浅田 義正
1,2,3,4
,
福永 憲隆
1
,
渡邊 紘之
1
1医療法人浅田レディースクリニック
2浅田レディース品川クリニック
3浅田レディース名古屋駅前クリニック
4浅田レディース勝川クリニック
pp.838-843
発行日 2020年8月10日
Published Date 2020/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409210127
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背景・目的
われわれは受精卵(胚)の培養環境を最適化することを目的として,低酸素環境を維持し培養ディッシュを空気中へさらすことのない連続培養系を確立することを目的に,Time Lapse機器を導入してきた.Time Lapse機器を利用するメリットは,胚を培養しながら連続撮影し,胚の発育をインキュベーター外に出さずに経時的に観察できることである.これにより,これまで定時の顕微鏡観察では確認できなかった胚の動態を見逃すことなく記録することができ,より詳細な形態評価が可能となった.Time Lapse機器によって得られた胚の情報は膨大であり,胚の形態評価の精度向上に有効である反面,画像データ量も膨大になり,その処理が新たな課題となっている.
受精現象を判定するには前核の有無と数で判断することができる.前核数を正しく判定することは,生殖医療における移植胚を選択し培養するうえで重要な工程である.われわれはTime Lapse機器による胚観察により,定時観察では不受精と評価されていた胚のうち,1割程度に前核早期消失胚が存在することを明らかにした.つまり,顕微鏡による定時観察では受精現象を見逃していることになる.そこでTime Lapse機器を導入した2012年以降から現在に至るまで胚の前核数確認には,全症例でTime Lapse機器を使用してきた.
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