連載 FOCUS
妊娠糖尿病における管理の世界的潮流
森川 守
1
1北海道大学大学院医学研究院専門医学系部門生殖・発達医学分野産婦人科学教室
pp.592-597
発行日 2019年6月10日
Published Date 2019/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209751
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はじめに
2010年,わが国において妊娠糖尿病(gestational diabetes mellitus : GDM)の診断基準が変更された.これは,国際学会であるInternational Association of Diabetes and PregnancyStudy Groups(IADPSG)が世界統一の診断基準を作成したことに合わせたものだった.その後,この診断基準はWorld Health Organization(WHO)も推奨している.
IADPSG criteriaは2000年7月から2006年4月に米国シカゴを中心に9か国,15施設で行われたHAPO study1)の結果をもとに作成された.米国からの4施設,英国からの3施設(北アイルランド,英国領小島から各1施設ずつを含む),カナダからの1施設も含まれていた.しかし,この3か国ではIADPSG criteriaを採用していない.また,アジアからはタイ,イスラエル,香港の施設が参加したが,香港からは中国系ならびに米国系人種が多く含まれていた.すなわち,この診断基準に日本人は含まれていない.
また,IADPSG criteriaがわが国のGDM管理に本当に適当なのかとの疑問も囁かれるようになってきている.
今回,GDMにおける管理の世界的潮流について述べる.
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