連載 FOCUS
母体血を用いた胎児の遺伝子診断―胎児染色体異数性以外を対象とした検査を中心に
山田 崇弘
1
1京都大学医学部附属病院遺伝子診療部
pp.494-497
発行日 2019年5月10日
Published Date 2019/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209730
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はじめに
母体血を用いた出生前遺伝学的検査としては,母体血清マーカー検査と母体血中のcell-free胎児DNAを用いた無侵襲的出生前遺伝学的検査(non-invasive prenatal testing : NIPT)が通常想起される.特に国内においては,2013年から臨床研究が始まった13, 18, 21トリソミーを対象とした非確定検査としてのNIPTが注目される.しかし,本来母体血を用いた出生前遺伝学的検査としては,母体血中のcell-free胎児DNAを用いたものだけでなく,母体血中の胎児由来細胞を用いる方法が先行していた.また,母体血中のcell-free胎児DNAは1997年に初めて証明された1)が,これを用いた研究も当初は母体血中に存在しないY染色体上の遺伝子を用いた性別診断1〜3)やRhD陰性母体を対象とした胎児RhD血液型判定4)などが主たる対象であった.
本稿では胎児染色体異数性以外を対象とした母体血を用いた出生前遺伝学的検査についてまとめてみたい.
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