連載 FOCUS
大阪府がん登録データを用いた稀少がんの疫学的解析
八木 麻未
1
,
田中 佑典
1
,
上田 豊
1
,
吉野 潔
2
,
木村 正
1
1大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学教室
2産業医科大学大学院医学研究科産科婦人科学講座
pp.494-499
発行日 2018年5月10日
Published Date 2018/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209406
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
がん登録とは
地域がん登録には,各自治体において「がん」(上皮内腫瘍,がん,肉腫を含む)と診断されたすべての症例のデータ(氏名・生年月日・性別・原発部位・組織型・診断日・臨床進行度・検査内容・治療内容・死亡日・登録医療機関など)が含まれている.地域がん登録制度の主たる役割として,がん登録データを利用したがんの罹患数・罹患率の推移や生存率の解析,さらに検診をはじめとしたがん対策の評価を行うことで医療の向上を目指すことが挙げられる1).しかしながら,都道府県ごとにデータを収集していると,居住区域以外の医療機関で診断・治療を受けた人や,がんと診断されてから他府県に転居した人などのデータが重複し正しい情報が把握できない可能性が生じる.そこで,居住地域にかかわらず全国どの医療機関で診断を受けても,がん登録データを管理できる仕組みが必要となった.
2013年12月,「全国がん登録」の実施やこれらの情報の利用および提供・保護などについて定めた「がん登録等の推進に関する法律」が成立し,2016年1月から施行された.これにより,すべての病院と指定された診療所で「がん」と診断された人のデータは都道府県に設置された「がん登録室」を通じて集められ,国のデータベースで一元管理される2, 3).
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.