症例
脳転移をきたしたgranulocyte colony-stimulating factor(G-CSF)産生子宮頸癌の1例
小野 元紀
1
,
宮下 昭太
1
,
山本 さやか
1
,
高木 緑
1
,
戸田 文香
1
,
中村 智次
2
,
高木 靖
1
1諏訪赤十字病院産婦人科
2諏訪赤十字病院病理診断科
pp.485-490
発行日 2017年5月10日
Published Date 2017/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209083
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▶要約
G-CSF産生腫瘍は白血球の著明増多を伴い,子宮頸癌では非常に稀である.
WBC 61,150/μLと著明な増加を認めるG-CSF産生子宮頸癌ⅣB期に対し,同時化学放射線療法(CCRT)を施行した.白血球数は治療開始後速やかに正常値となり,子宮頸部腫瘤およびリンパ節転移巣の著明な縮小がみられた.血清G-CSFを除き,腫瘍マーカーはいずれも著明に低下した.十分な局所制御を得たが,治療中に脳転移を認め全脳照射後に永眠された.
G-CSFには好中球増加作用以外にもさまざまな作用を有することが近年報告されており,今回,悪性腫瘍の転移促進作用の可能性について着目した.
本症例において子宮頸癌では稀な脳転移をきたした原因として,G-CSFの血管新生促進や細胞免疫抑制作用により高い転移能を獲得した可能性が考えられた.
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