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センチネルリンパ節(SLN)は,腫瘍が原発巣から最初に転移するリンパ節を指し,SLNを同定し,転移がないことを証明できれば他へのリンパ節転移は成立していないはずであり,系統的リンパ節郭清を省略することができるという概念である.SLN生検により系統的リンパ節郭清による出血,神経損傷,リンパ囊胞,リンパ浮腫などの合併症発症を避けることができ,婦人科悪性腫瘍においても臨床応用が期待されている.トレーサーの種類としては,99mTc─スズコロイド,99mTc─フィチン酸などを用いたラジオアイソトープ(RI)法とパテントブルー(分子量566.7),イソスルファンブルー(分子量566.7),インジゴカルミン(分子量466.4)などを用いる色素法がある.最近では,インドシアニングリーン(ICG)(分子量775)を投与し,術中に赤外線カメラを用いてSLNを検出するICG蛍光法もある(図1).
子宮頸がんにおけるSLN生検では,1,811症例におけるreviewにおいて,2cm未満の症例では検出率95.4%,感度100%,子宮頸がん2cm以上の症例では検出率80.1%,感度89.3%と,腫瘍径が大きくなると検出率,感度が低下することを指摘している1).われわれの施設では,NAC症例を含む子宮頸がん204例に対してSLN生検を施行し,検出率83.3%,感度70%,偽陰性率6.2%の結果で,99mTc─スズコロイドを用いた方法が最も検出率が高く,腫瘍径が大きな腫瘍や局所進行がんと比較し,4cm未満の腫瘍径であるⅠB1期では検出率や偽陰性率で有意に優れていることが判明した.さらに腹腔鏡下手術でのSLN検出率は,開腹手術と比して,有意に検出率が高い傾向にあった2).
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