増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?
Column
出生前診断としてのDNAマイクロアレイ
亀井 良政
1
1埼玉医科大学病院産婦人科
pp.78
発行日 2017年4月20日
Published Date 2017/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209009
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DNAマイクロアレイは,全染色体を領域ごとに分け,それぞれの領域のDNA断片を枡目状に配列された基盤上に固着させ,サザンブロッティング法を応用して各領域におけるゲノムDNAコピー数の増加・減少を検出する網羅的遺伝子解析法である.従来のG-banding法の解像度がせいぜい3〜10Mbであるのに対し,DNAマイクロアレイでは〜50Kbと約100倍の解像度をもつために,G-banding法による核型分析では検出できない微小な欠失や重複,低頻度モザイクなどの検出が可能である.また,SNPマイクロアレイでは,アレル特異的なゲノムコピー数の測定が可能であり,LOH(loss of heterozygosity)やUPD(uniparental disomy)の検出も可能となる.
現在,小児科領域ではDNAマイクロアレイの有用性が確認されている.たとえば,G-bandingで正常核型と診断された小児の精神発達遅滞や自閉症の症例の検討では,DNAマイクロアレイにより約15%に染色体の不均衡や変異を認めており,検査の有用性が次第に認識されるようになった.米国人類遺伝学会は,2010年より,小児における原因不明の多発奇形や発達障害の診断にはDNAマイクロアレイを第一選択とする,としている.
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