症例
開腹子宮筋腫核出術後に仮性動脈瘤を生じ,全腹腔鏡下子宮全摘術を行い,病理結果で低悪性度内膜間質肉腫と判明した1例
田邉 康次郎
1
,
佐々木 恵
1
,
佐々木 恵里奈
1
,
松本 沙知子
1
,
嶋田 未知
1
,
笹瀬 亜弥
1
,
大山 喜子
1
,
赤石 美穂
1
,
早坂 篤
1
,
大槻 健郎
1
1仙台市立病院産婦人科
pp.1171-1177
発行日 2016年12月10日
Published Date 2016/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208920
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▶要約
仮性動脈瘤は手術,感染などにより動脈壁が損傷され,動脈の3層構造をもたず,残存した動脈壁もしくは周囲組織が豊富な血流を有したまま膨隆した状態をいう.血腫とは血流を有する点で異なり,仮性動脈瘤は破綻すると危機的な出血をきたす.低悪性度内膜間質肉腫は,正常内膜間質細胞に類似した細胞が周囲組織への浸潤や脈管侵襲を示す悪性疾患である.画像所見は他の肉腫同様,変性筋腫との鑑別は容易でない.
今回われわれは開腹筋腫核出術後に仮性動脈瘤を発症し,術前に変性筋腫と考えていた腫瘤が病理結果で低悪性度内膜間質肉腫であった稀な症例を経験したので報告する.症例は49歳,2回経妊2回経産の女性で,多発筋腫による頻尿と過多月経を主訴に当院を受診した.子宮温存希望が強いため開腹筋腫核出術を行った.術後6日目の診察時に径4cmの仮性動脈瘤を認め,同日に全腹腔鏡下子宮全摘出術を行った.子宮摘出術後2週間目に確認された核出筋腫の病理結果より,変性筋腫と考えていた腫瘤は低悪性度内膜間質肉腫であった.摘出子宮の病理所見で悪性所見は認めなかった.本人との相談により追加治療はせず,術後2年8か月経過した現在,再発を認めていない.
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