症例
血小板減少を伴う分類不能型免疫不全症合併妊娠の1例
成冨 祥子
1
,
津戸 寿幸
1
,
安田 美樹
1
,
太田 沙緒里
1
,
多賀 紗也香
1
,
佐藤 奈菜香
1
,
村上 法子
1
,
伊藤 雅之
1
,
亀谷 英輝
1
1大阪府済生会吹田病院産婦人科
pp.673-676
発行日 2016年7月10日
Published Date 2016/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208827
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▶要約
分類不能型免疫不全症(common variable immunodeficiency : CVID)は原発性免疫不全症の1つで,ガンマグロブリンの定期補充により健常人とほぼ同様の生活を送ることができる.しかし,妊娠・分娩例の報告は少ない.今回,血小板減少を伴うCVID合併妊娠例を経験したので報告する.症例は26歳時にCVIDと診断され,定期的にガンマグロブリン補充をされていた.28歳で第1子を経腟分娩したが,産後にCampylobacter腸炎を併発した既往がある.今回,30歳で第2子を妊娠した.血小板数が妊娠39週に5.2×104/μLまで減少したため分娩誘発を行い,同日経腟分娩した.分娩進行中にはガンマグロブリンを大量投与した.計画的なガンマグロブリン投与で,母児ともに感染症を併発することなく周産期管理ができた.CVID合併妊娠は,母体に必要十分なガンマグロブリン補充療法を行い,母体と新生児の感染予防を図る必要がある.また母体に対しては,血小板減少を伴う可能性も念頭においた慎重な周産期管理が必要である.
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