症例
産褥78日目に筋腫分娩となった子宮筋腫合併妊娠の1例
安田 美樹
1
,
伊藤 雅之
2
,
小作 大賢
2
,
宮本 瞬輔
2
,
山崎 亮
2
,
多賀 紗也香
2
,
村上 法子
2
,
津戸 寿幸
2
,
亀谷 英輝
2
1兵庫県立尼崎総合医療センター
2大阪府済生会吹田病院
pp.185-190
発行日 2018年1月10日
Published Date 2018/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409209250
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▶要約
子宮筋腫合併妊娠では妊娠中に早産,胎盤位置異常などの合併症の頻度が増えるだけではなく,産褥期に子宮筋腫の変性や感染などを引き起こすことがある.今回,産褥78日目に変性した筋層内筋腫が粘膜下に突出し,筋腫分娩となった症例を経験したので報告する.
症例は28歳,未経妊.子宮筋腫合併妊娠のため妊娠11週に当科に紹介された.超音波検査で子宮前壁に85×79×73mmの筋層内筋腫を認めた.妊娠経過は問題なく,妊娠41週に3,112gの女児を吸引分娩した.産褥55日目より性器出血と下腹部痛が出現した.発熱の持続とWBCの上昇を認め産褥70日目に抗菌薬を開始したが,症状は改善しなかった.産褥78日目に突然腹痛が軽減し,腟鏡診で腟内に脱出した筋腫を認め,翌日手拳大の筋腫が腟外に自然脱落した.
本症例は分娩後の子宮血流の変化により筋層内筋腫が変性を起こし,子宮サイズの縮小により粘膜下に押し出され,子宮内感染を契機として筋腫分娩に至ったと推察された.
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