症例
卵巣がんによるがん性腹膜炎が疑われた囊胞状変性を伴う有茎性子宮筋腫の1例
長澤 佳穂
1
,
伊藤 雅之
1
,
増田 ゆうき
1
,
小西 莉奈
1
,
飯藤 宰士
1
,
成冨 祥子
1
,
村上 法子
1
,
津戸 寿幸
1
,
加藤 俊
1
,
亀谷 英輝
1
1大阪府済生会吹田病院産婦人科
pp.453-458
発行日 2024年5月10日
Published Date 2024/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409211266
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▶要旨
子宮筋腫は超音波検査などで比較的容易に診断がつくことが多いが,二次変性をきたした場合に卵巣腫瘍や子宮肉腫などの悪性腫瘍と類似した所見を示し,鑑別が困難になることがある.今回,術前検査がいずれも卵巣がんを疑う所見であったにもかかわらず,開腹手術によって変性筋腫の診断に至った症例を経験したので,報告する.
症例は49歳,女性.腹部膨満感に加え,腹痛も出現し,前医に救急搬送された.腹部単純CT検査で卵巣腫瘍の破綻が疑われたため,当院に転院となった.腹水貯留を認め,MRI,PET-CTなどの画像検査から右卵巣がん,腹腔内播種と診断し,開腹手術を行った.両側卵巣は正常大であり,子宮底部から有茎性漿膜下筋腫を認めた.術中迅速病理検査では変性筋腫であり,単純子宮全摘術を施行した.最終診断は内膜症を合併した平滑筋腫であった.
変性筋腫は他の疾患との鑑別が難しく,各種検査を総合的・経時的に判断することが重要である.
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