症例
分娩後に非典型溶血性尿毒症症候群を発症した加重型妊娠高血圧腎症の1例
大川 雅世
1
,
伊藤 雅之
1
,
太田 沙緒里
1
,
成冨 祥子
1
,
丸岡 寛
1
,
村上 法子
1
,
津戸 寿幸
1
,
加藤 俊
1
,
亀谷 英輝
1
1大阪府済生会吹田病院産婦人科
pp.291-296
発行日 2022年3月10日
Published Date 2022/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409210604
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
▶要約
症例は43歳,初産婦.妊娠30週1日より加重型妊娠高血圧腎症にて入院管理としたが,血圧コントロール不良のため妊娠31週1日に緊急帝王切開術を施行した.術後の血液検査で術前にはなかった凝固能異常,肝逸脱酵素の上昇を認め,産褥HELLP症候群と考えた.術後2日目には乏尿となりCre 4.34mg/dLと急性腎障害を認めICU入室,術後3日目より血液透析を開始した.肝逸脱酵素は低下したが,乏尿は持続しCreは7.27mg/dLまで上昇した.その後は次第に尿量が増加し,術後11日目(透析6回目)に透析を離脱,術後19日目に退院とした.HELLP症候群としては非典型的な経過であり,除外診断から非典型溶血性尿毒症症候群(atypical hemolytic uremic syndrome : aHUS)と考えた.補体関連遺伝子の変異が確定診断には必要だが,退院後の遺伝子検査では変異はなかった.aHUSの診断・治療を産婦人科のみで行うことは困難であり,他科との協働が重要であるが,国内の報告はまだ多くないため,文献的考察を加えて報告する.
Copyright © 2022, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.