今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望
体外受精治療の問題点
2.新生児異常の実態
平原 史樹
1
1横浜市立大学大学院医学研究科生殖生育病態医学(産婦人科学)
pp.726-731
発行日 2015年8月10日
Published Date 2015/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208489
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
●体外受精をはじめとする生殖医療が出生児の健康,先天異常などに及ぼす影響についてその動向を概観すると,ARTはおおむね児の健康には影響はないものの,いくつかの特有な先天異常の発生を起こしうる可能性ほか,若干の先天異常発生率を上昇させるとのコンセンサスとなっている.
●ARTはIVF,ICSIなどの操作そのものがいかに関与するかは明確には明らかではなく,そもそもの不妊病態の背景因子も大いにかかわっているとされている.
●受精後に起こるゲノムインプリンティングの異常も起こりうる可能性が示唆されており,ゲノムがなお一層明らかとなる時代背景のなか,エピジェネティクスと受精,発生も含めた研究の進展,分析が期待されている.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.