特集 症候からみた新生児異常の診断
新生児異常の診断
九嶋 勝司
1
Katsuji Kushima
1
1東北大学医学部産科婦人科学教室
pp.777-779
発行日 1970年9月10日
Published Date 1970/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204270
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Ⅰ.新生児診断の特徴
新生児診断は,成人診断とも乳児診断とも異なった特徴がある。成人の場合ならば,病気となれば,ほとんど必ず愁訴するようになり,これが診断への最初の手掛りとなっている。しかるに新生児や乳児はこの愁訴を持たない。また,新生児期は胎内生活の影響が残っている時期であり,しかも胎外生活へ急速に順応しつつある時期でもある。このため新生児の正常値は,日令とともに変化して行くものと思わなければならぬ。この点が乳児との大きな相違点である。これらの特色は,従来,新生児異常の診断を困難なものにして来たが,今後は,むしろこの特色を新生児異常の診断に活かして行くべきものであると考える。
新生児の異常を発見するには,①症状が全くない時期に必要な検査を行なって,潜在異常をスクリーニングする行き方と,②必ずしも明瞭ではない新生児の症状を注意深く観察し,症状を発見した段階から諸検査を実施して,異常を診断する行き方……の2つの方法がある。
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