境界領域の再評価とその展開 特集
産婦人科と眼—専門医にきく
光刺激と新生児脳幹反応
安原 昭博
1
,
岩瀬 帥子
1
Akihiro Yasuhara
1
,
Suiko Iwase
1
1関西医科大学小児科学教室
pp.667-670
発行日 1987年10月10日
Published Date 1987/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409208167
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医療機器の進歩や医療体制の充実により,新生児医療はintact survival (後遺症なき生存)を目標として高度な医療が施されるようになった。しかし,新生児仮死や頭蓋内出血など永久的な中枢神経後遺症を残す疾患が本目標達成の大きな妨げとなっている。脳障害の中でも,新生児の場合は大脳の障害よりも脳幹障害のほうが予後が悪く,たとえ生命が保たれても神経学的後遺症を残すことが多い。これは,脳幹と大脳との髄鞘化の時期の相違,および代償作用の有無によるものと推定される。もし脳幹の機能が早期に十分把握できれば,より適切な治療を施すことも可能になるものと思われる。これまで脳幹の機能を診る方法としては,角膜反射や吸啜反射などが用いられたが,いずれにしても定量的な評価はできなかった。しかし,電気生理学的な手法を用いれば,それも可能となる。すなわち,眼輪筋反射や聴性脳幹反応は脳幹の状態を直接反映し,しかも潜時や振幅,閾値などについて客観的に評価し得るからである。最近これらの反応が新生児に応用されるようになった。本稿では,われわれの施設での成績を中心に,光刺激による眼輪筋反射の新生児への応用について述べる。
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