特集 婦人科癌治療の新しい試み
癌免疫療法—adaptive immunotherapyを中心にして
本田 修司
1
,
八幡 剛喜
1
,
藤田 和之
1
,
吉谷 徳夫
1
,
田中 憲一
1
,
竹内 正七
1
Shuji Honda
1
1新潟大学医学部産科婦人科学教室
pp.325-331
発行日 1989年4月10日
Published Date 1989/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207976
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癌に対する治療は従来,手術療法,放射線療法,化学療法,ホルモン療法が主体であり,免疫療法は補助的な域をでなかった。免疫療法の原理は,癌細胞をnot-selfと生体が認識し排除することを基本とし,過去より特異的,非特異的,受動あるいは能動的免疫療法等各種の治療法が試みられた(表1)。最近,各種癌抗原に対するモノクローナル抗体の開発,培養技術の向上,遺伝子工学の進歩によるサイトカイン,リンフォカインの大量製造,あるいはヒトメラノーマ細胞における腫瘍抗原の同定等により,抗原認識のメカニズムまたは腫瘍細胞を実際に障害するエフェクター細胞の研究がすすみ,有効な癌免疫療法の可能性が示されつつある。本稿では,癌治療の免疫学的背景および最近脚光をあびている養子免疫療法の概要を述べ,我々のおこなっているTIL (腫瘍内浸潤リンパ球)を用いた免疫療法の一部を紹介したい。
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