臨床研修セミナー 多胎
多胎と胎児・新生児異常
藤本 征一郎
1
,
花谷 馨
1
,
菅原 照夫
1
,
田中 俊誠
1
Seiichiro Fujimoto
1
1北海道大学医学部産婦人科学教室
pp.70-76
発行日 1989年1月10日
Published Date 1989/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207933
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本邦における多胎妊娠の頻度は欧米と比較して低いが,近年各種の排卵誘発法の普及によりその頻度は上昇の傾向にある。単胎児に比して,多胎児には周産(生)期における各種の異常(早期産,低出生体重,胎児・新生児仮死,奇形,胎児間輸血症候群,周産期死亡など)の頻度も高い。
最近では,超音波診断(胎児,胎盤,胎児膜,羊水量などの観察),胎児心拍数陣痛計測(NST,CST,分娩監視),子宮収縮制御,羊水サーファクタント測定などの進歩により多胎妊娠の産科管理は大きな変貌を遂げている。卵性診断は,多胎児の取り扱いにあたり,胎児間輸血症候群,奇形,多胎のうち1児の異常(死亡など),遺伝性疾患,育児指導などの観点からも必要であり,各種血液型,白血球型,血清蛋白,酵素,染色体多形性などの遺伝形質の検査が出生直後より望まれる。とくに胎児膜(1絨毛膜性か,2絨毛膜性か),胎盤血管吻合(とくに胎盤実質内の動静脈吻合)についての検索は,臨床的に最も問題となる胎児(双胎)間輸血症候群の診断・管理のためにも実施されなければならない。
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