総説
子宮内膜症と腹腔マクロファージ
藤崎 俊一
1
,
宮村 伸一
1
,
松浦 講平
1
,
岡村 均
1
Shunichi Fujisaki
1
1熊本大学医学部産科婦人科学教室
pp.601-609
発行日 1988年7月10日
Published Date 1988/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207818
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性管を上行性に侵入する微生物や精子,また逆流月経や排卵によって散布される赤血球や変性細胞のほかに,異所性の子宮内膜組織の存在が刺激となって恒常的な活性亢進状態を示す腹腔マクロファージ(Mφ)と,骨盤腔に好発する子宮内膜症の原因や随伴する病態との因果関係についての知見が急速に集積されつつある。これらの知見は,活性が異常に亢進したMφの作用によって成立する不妊症の存在を示唆し,その機序として,胎芽発生の初期過程に精子,卵子ないし受精卵,および内性器に発現する現象が,活性化マクロファージの直接的なあるいは液性因子を介する間接的な作用によって障害され,着床前に妊孕性が失われることが示されている。
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