図解 初心者のための手術理論 再建手術
外陰再建術—新しい血管付遊離皮膚弁移植法について
光田 信明
1
,
倉智 博久
1
,
川村 泰弘
1
,
谷澤 修
1
,
前田 求
2
,
松本 維明
2
1大阪大学産婦人科
2大阪大学形成外科
pp.601-605
発行日 1987年9月10日
Published Date 1987/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207653
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外陰癌は婦人性器癌の2〜4%と比較的まれな疾患であり,治療の困難な場合が多く,また治療法の選択も一定していない1)。すなわち,患者の年齢が高齢層に偏っているため,積極的治療が行いにくい場合が多く,手術療法の際の合併症も他の婦人科手術に比し格段に多いことが挙げられる。術後合併症として,創傷皮膚の壊死,感染,リンパ液の貯留による下腿浮腫などがある。
治療方法は大別して(1)手術療法,(2)放射線療法,(3)化学療法があるが,手術療法は始めRuprechtらにより報告され,その後Basset, Taussig, Wayらにより広汎性外陰切除術およびリンパ節郭清術が開発され根治性の高いものとなっている。手術療法における最大の問題点は,広い切除欠損部位をいかに処理するかということであるが,我々は広汎性外陰切除術後に種々な外陰再建術を行っている。中でも大腿内面より薄筋およびその表層皮膚を用いた筋皮虜弁移植(Gracilis Musculo—cutaneous Flap)は既に報告2,3)しているように良い成績をおさめている。今回は広汎性外陰切除術radicalvulvectomyに全骨盤内臓器摘出術total pelvic exen—terationを加え,新しい外陰再建術を試みたので,それも含め外陰再建術の適応とその形成外科的手技について紹介する。
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