境界領域の再評価とその展開 特集
産婦人科と腎
胎児の腎機能
下川 浩
1
,
中野 仁雄
1
Hiroshi Shimokawa
1
,
Hitoo Nakano
1
1九州大学医学部婦人科学産科学教室
pp.519-522
発行日 1987年8月10日
Published Date 1987/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207632
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今日の周産期医療の展開には,科学的に裏打ちされた,質,量ともに拡大した胎児情報と,それにもとづく胎児医療の進歩が原動力の一つになっている。たとえば,電子スキャンの周産期医療への導入により,実時間の胎児の動きが観察できるようになり,動きの連続や集合の中から胎児の生理学的側面を評価できるようになってきた。その結果,今日では,胎児の循環器系,中枢神経系の発達あるいは異常の評価にとって重要な手段となっている。
同様に電子スキャンを用いて胎児膀胱を連続的に観察すれば,その変化から胎児の腎機能を評価することができる。1973年Campbell & Wladimiroff1)が超音波断層法を用いて胎児の膀胱容量の測定法を報告して以来,それを用いた尿産生量の測定の検討が行われてきた。われわれは,1980年以来,本法の臨床応用を試みてきたので2),本稿では超音波断層法を用いた胎児尿産生量測定の意義を中心に胎児の腎機能について概説する。
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