原著
子宮肉腫の臨床的・病理学的検討
関 晴夫
1
,
斉藤 良治
1
,
田口 圭樹
1
,
佐藤 康美
1
,
真木 正博
1
Haruo Seki
1
1秋田大学医学部産科婦人科学教室
pp.853-859
発行日 1986年11月10日
Published Date 1986/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207492
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子宮肉腫は更年期,閉経期に多く発生する稀な腫瘍である。また,術前に正しく診断されないことも多い。摘出標本の肉眼所見でみると,子宮肉腫の多くは平滑筋肉腫の筋層内発生例を除いて,子宮内腔に向かってポリープ状の発育を示すことが多い。ヒステロスコープはこのポリープ状腫瘤の確認上極めて有用である。ポリープ状の悪性腫瘍が必ずしも肉腫とは限らないが,少なくとも肉腫を疑診することは可能である。
当教室にて経験した6例の子宮肉腫のうち5例は1期であり,全例8カ月から7年6カ月(平均4年4カ月)生存しており再発の微候はない。しかしIII期例の1例は6カ月で全身転移により死亡した。組織型は子宮内膜間質肉腫3例,平滑筋肉腫1例,中胚葉性混合腫瘍2例であった。子宮肉腫の予後は治療開始時の病巣の広がりに左右されると考えられる。
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