先進医療—日常診療へのアドバイス 特集
リプロダクションと凝固線溶系
血小板—その機能と代謝
松本 隆史
1
,
金丸 恵子
1
,
沢木 泰仁
1
Takafumi Matsumoto
1
1国立津病院産婦人科
pp.665-669
発行日 1986年9月10日
Published Date 1986/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207449
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血小板(platelet)は,血球として最後に発見された円盤形の細胞で,血管内にあって止血機構の要(かなめ)の一つとして重要な役割を果たしている。最近,我が国で増加してきた血管性疾患や血栓性疾患の中には,血小板がしばしば血栓形成の引き金的な役割を演じていることが注目されてきた。産科領域においても,妊娠そのものが,凝固因子の亢進状態を背景にして,血栓好発傾向にあることが知られている。また,妊娠中毒症は,凝血学的には慢性の凝固亢進状態,すなわち,chronic DICの代表的な疾患の一つと考えられていることから,血小板系の関与が示唆されてきた。そこで,本稿では,血小板の機能発現にいたる過程の中で,血小板内におこる様々な代謝動態について,最近の知見に基づきその概要を述べるとともに,筆者らの成績から,妊婦血液循環の特性について若干の考察を加えた。
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