先進医療—日常診療へのアドバイス 特集
腫瘍マーカー
フェリチン
野沢 志朗
1
,
塚崎 克己
1
,
成沢 園子
2
,
高山 泰子
1
,
飯塚 理八
1
Shiro Nozawa
1
,
Sonoko Narusawa
2
1慶応義塾大学医学部産婦人科学教室
2慶応義塾大学婦人科病理研究室
pp.516-519
発行日 1986年7月10日
Published Date 1986/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207419
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血清中腫瘍マーカー値は,腫瘍の存在やその増大縮小を良く反映し,しかも測定に際しての患者への負担が少なく,頻繁な測定が可能であることより,近年婦人科oncologyの分野でも,悪性腫瘍の診断や治療効果判定の指標として必須不可欠の精査の一つとなりつつある。しかし現在臨床に用いられている腫瘍マーカーには,特定の腫瘍に対する特異性(偽陽性がない)と感度(偽陰性がない)の両者を完壁に兼ね備えたものはなく,各マーカーはそれぞれさまざまな長所と短所を有している。そのため,臨床応用に際しては用いる腫瘍マーカーの特性を十分把握しておくことがその有用性を高める上で大切である。このような観点から,本稿では鉄貯蔵蛋白であるフェリチンの腫瘍マーカーとしての有用性ならびに臨床応用に際しての問題点について我々のデータを含めて述べてみたい。
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