先進医療—日常診療へのアドバイス 特集
重症合併症妊娠
潰瘍性大腸炎合併妊婦の管理
北野 厚生
1
,
小林 絢三
1
Atsuo Kitano
1
,
Kenzo Kobayashi
1
1大阪市立大学医学部第3内科教室
pp.287-289
発行日 1986年4月10日
Published Date 1986/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207366
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潰瘍性た腸炎(Ulcerative Colitis:UC)は,主として若年期に発症し,直腸を含めた大腸粘膜にびらんや潰瘍性病変がdiffuseに存在する慢性の炎症性腸疾患であり,クローン病(Crohn’s Disease:CD)とともに,特発性炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease)と称せられ近年その増加傾向がつよい1〜3)。現在これらの疾患の病態へのアプローチが行われているにもかかわらず,いまだ確立された病因論はないが,免疫学的研究からは自己免疫疾患であることを示唆するデータが多い4〜7)。
UCに対する治療薬剤は,副腎皮質ステロイドホルモン(SH)とSalicylazosulphapyridine (SASP)を2本柱としている。2者の投与法に関しては罹患範囲,病型.重症度を加味して投与方法(経日,坐剤),投与量,投与期間を選択するのが常道である8〜10)。しかしながら,病型のみをとり上げても慢性持続型移行例や頻回の再燃例などが存在し,その病像を一律的にはとらえ難く,UCの治療をより困難なものとさせている。しかも,いったん緩解期へ導入し得てもその80%は再燃するとされ,常に再燃の危機に脅されているのが現状である8〜10)。
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