先進医療—日常診療へのアドバイス 特集
重症合併症妊娠
糖尿病性ケトアシドーシスの診断と救急処置
福島 春海
1
,
大塚 博光
1
,
海老原 肇
1
,
浜田 宏
1
Harumi Fukushima
1
1聖マリアンナ医科大学産婦人科学教室
pp.271-273
発行日 1986年4月10日
Published Date 1986/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207362
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糖尿病と妊娠については古くより関心がもたれ,糖尿病妊婦に多様,かつ高度に母児合併症が発生することは周知のところである。
胎盤からは妊娠の進行とともに種々の抗インスリンホルモンが産生され,一方では胎盤産生の蛋白分解酵素によってインスリンの分解が旺盛になるなど,妊娠時は一般にインスリン抵抗性となって,糖尿病を悪化させると考えられている。それ故,無治療または不十分なテンスリン治療下では,インスリン欠乏状態となり,肝で脂肪酸をもとにケトン体が生成され,糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis以下DKAと略)に陥りやすくなり,その発症時期は妊娠24〜28週に多い。妊娠中のDKAは比較的血糖値が低くても起こり,またWhiteによれば非妊時のDKAと比べ,血中CO2濃度が箸しく低値となり,インスリン効果が発現にくく,回復も長びくという特徴をもっている。
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