グラフ 胎児の機能診断
肺成熟のモニタリング
樋口 誠一
1
Motokazu Higuchi
1
1秋田大学医学部産婦人科教室
pp.544-546
発行日 1985年7月10日
Published Date 1985/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207207
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胎児肺の成熟度の出生前診断は胎児の胎外生活能を知る上で最も重要な診断の一つであることは論を待たない。この胎児肺の機能的成熟は,現在のところ,主として以下の三者の発達度に依存しているといえる。すなわち,それは組織学的そして生化学的なものであり,かつ神経学的発達度であると考える。このうち,組織学的成熟の診断はもとより不可能ではあるが,これはまた生化学的成熟とパラレルに進行すると考えられるので,ここでは後者の二つについて,その診断的アプローチの方法を述べることにする。
胎児肺の生化学的成熟はむろん羊水中の肺サーファクタント(肺サ)の測定によるが,これにはL/S比をはじめ,現在では種々の方法が開発されている(表1)。また,これらの方法は生化学的測定法と物理化学的測定法に分類されうる。前者は診断的正確性で後者に優るが,測定に時間がかかり,後者は迅速ではあるが半定量法であること,主観が入り易いこと,そして多少正確性において前者より劣るという欠点をもっている。したがって,各々の長所,短所を知ったうえで,方法を選択することが肝要であり,表2にその選択の方法の概略を示した。
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