明日への展開--ヒューマンバイオロジーの視点から 胎児--その自立と依存
胎児肺機能の成熟と適応—特にその母体依存性について
樋口 誠一
1
Motokazu Higuchi
1
1秋田大学医学部産婦人科教室
pp.909-914
発行日 1984年12月10日
Published Date 1984/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207095
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新生児呼吸窮迫症候群(RDS)の原因が肺表面活性物質(surfactant)の一元的欠乏(現在ではその機能の低下もまた一因として考えられている)によるものであることは一般的に認められている事実である。しかしながら,母体側,あるいは胎児側の環境因子(これらはまた互いに関連しあう場合もある)が胎児肺の成熟,あるいはsurfactantの機能そのものにさまざまな影響を与えているものと考えられる。
したがって,RDSの疫学的要因,すなわちRDS発生におよぼす母体・胎児側因子を知ることはRDS発生予防という点で,実際に臨床にたずさわる者にとってきわめて重要なことと思われる。またRDS発症原因の多面的解明の一つの手がかりにもなりうるといえる。
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