指標
胎児とAVP (arginine vasopressin)
三宅 良明
1
,
村田 雄二
1
,
坂田 寿衛
2
Yoshiaki Miyake
1
,
Yuji Murata
1
,
Hisaei Sakata
2
1Division of Maternal Fetal Medicine University of California, Irvine, School of Medicine
2日本大学医学部産婦人科教室
pp.547-556
発行日 1985年7月10日
Published Date 1985/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207208
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胎児は子宮内環境下にあり,その酸素,循環血液量の調節維持には胎児独自の調節機能が必要と思われる。すなわち,その供給源が母体,胎盤に限られているため,その供給不全による胎児hypoxia,胎児循環血液量の変化に対し,胎児は常にこれらのストレスに対応できる独自の調節能力を備えていなければならない。この意味では,胎児は常に胎内環境の最も良き判断者であると同時にその任務の遂行者でもなければならない。近年,胎児hypoxiaに際して,arginine vasopressin (AVP), cate—cholamine (CA), β—endorphin等のホルモンの増加とその生理的意義についても検討されつつある1,2)。ことにAVPに関しては,従来より陣痛を伴わない帝王切開分娩児に,さらに経腟分娩児では,より以上に臍帯中のAVP濃度が高くなり3),胎児切迫仮死,胎児出血に際しても著増することが報告されている4,62,63)。さらに最近では,AVP, CA, β—endorphin等のradioimmunoas—say (RIA)法の開発と実験動物を用いた生理的妊娠モデルの作成により,実験的環境下における胎児AVPの分泌調節機構,およびその生理作用についても検討されつつある。
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