症例
Multicentric Pigmented Bowen's Disease
井町 正士
1
,
倉野 彰比古
1
,
渡辺 幸生
1
,
自見 昭司
1
Masashi Imachi
1
1国立病院九州がんセンター婦人科
pp.349-353
発行日 1985年5月10日
Published Date 1985/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207179
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Multicentric Pigmented Bowen's Disease (以下MPBDと略)は1970年Lloydにより病理組織学的には典型的なBowen病の所見を示すが,臨床的にはBowen病とは全く異なる経過を呈した22歳男子の鼠径部皮疹として発表された。以来世界で百数十例ほど,本邦でも約50例の報告がある。今回われわれは自然消退した33歳のMPBDを経験したので,その報告とともに本邦における女子のMPBD 28例について検討した。平均年齢は30.9歳で40歳未満の症例が89%と若年者に多い。96%が黒色皮疹を自覚し,60%に掻痒感を認めた。臨床像は黒褐色扁平小丘疹の集簇で,大・小陰唇から会陰,肛囲にかけて発生する。82%が治癒ないし軽快し,とくに自然消退を36%に認めた。尖圭コンジロームとの合併症例が多く,HPV様粒子を異型細胞核内に認め,HPVのDNAおよびHPV抗原を証明した症例もあり,その臨床経過とあわせてMPBDは外陰上皮内癌というより,尖圭コンジロームにごく近縁の疾患と考えている。
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