明日への展開--ヒューマンバイオロジーの視点から 性機能と中枢--その生理と異常
排卵期を中心とする性ステロイドフィードバック
加藤 順三
1
Junzo Kato
1
1山梨医科大学産婦人科学教室
pp.701-706
発行日 1984年9月10日
Published Date 1984/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207052
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I.性ステロイドフイードバックについての一般的理解
A.性ホルモンフィードバックの生理的意義
生殖内分泌の調節は,第1は中枢(下垂体を含めた広義の)による末梢内分泌腺機能の調節であり,第2は末梢性腺から分泌されたホルモンによる脳への性ステロイドフィードバック調節によって,主としておこなわれる。この下向性ならびに上行性調節が,視床下部—下垂体—卵巣系からなる一つの閉鎖環のなかで,相互に作用して自動調節機構servo-mechanismとして働き,性機能の性周期が維持される1〜4)(Harris,小林隆,五十嵐,小林拓)。
性ホルモンによるフィードバックには,図1のごとく,末梢卵巣から分泌されるステロイドホルモンによる長経路のものlong feedbackと,下垂体性および視床下部性の蛋白・ペプチドホルモンによる短経路のものshort feedbackとがある5)。前者には,周期性排卵性ゴナドトロピンサージをひきおこすポジティブ・フィードバックと,ゴナドトロピン分泌を維持するネガティブ・フィードバックとがある。後階の短経路フィードバックはゴナドトロピン分泌に関して,二次的・補完的な役割りを果たしているものと考えられている。
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