明日への展開--ヒューマンバイオロジーの視点から 子宮
Ⅱ.内膜
原発性月経困難症と子宮内膜由来のプロスタグランディン(PG)
安水 洸彦
1
Takehiko Yasumizu
1
1山梨医科大学産婦人科学教室
pp.529-533
発行日 1984年6月10日
Published Date 1984/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207017
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月経困難症(dysmenorrhea)とは,月経に随伴して生じる不快な症状を包含した一種の症候群で,臨床的に原発性と続発性の2つに分類される。原発性月経困難症は機能性または本態性月経困難症とも呼ばれ,骨盤腔内に器質的な病変が認められない。続発性月経困難症は子宮内膜症,骨盤内炎症,子宮筋腫,IUDの挿着などが原因となる。頻度からみれば原発性のものが圧倒的に多く,生殖年齢に達した女性の約半数は程度の差こそあれ,月経困難症を経験し,そのうちの約1割は1ヵ月に1〜3日は仕事や学業を休まざるを得ないとされている1)2)。おそらく,これは単独疾患による女性の病欠の原因としては最多であろう。
ところが,原発性月経困難症はこのように婦人科疾患の中では重要な位置を占めているにもかかわらず,つい最近までは原因についての究明がなされず,治療面でも強力な鎮痛剤や抗うつ剤などによる対症療法の域に留まっていた。1960年代に導入された経口避妊薬による排卵抑制療法は,有効な治療法としてははじめてのものであったが,その作用機序は不明のままであった。
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