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特集 これでわかる! 糖尿病患者の感染症対策
糖尿病患者の感染症の特徴とその対策
Characteristics of infections in diabetic patients and strategies for treatment
藤本 卓司
1
1市立堺病院 総合内科
キーワード:
①免疫能
,
②血流障害
,
③感染症
,
④血糖調節
Keyword:
①免疫能
,
②血流障害
,
③感染症
,
④血糖調節
pp.359-361
発行日 2007年7月15日
Published Date 2007/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1415100598
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糖尿病患者の感染症診療は起因微生物の推定から始まる.
糖尿病では感染症が起こりやすいか
糖尿病の患者は感染症に罹患しやすく,重症化しやすい.糖尿病では,多核白血球,単球,リンパ球の機能が低下しており,接着,遊走,オプソニン作用,貪食,白血球細胞内での殺菌作用などにおいて全般的な免疫能低下が見られる.また合併症としての血流障害の存在が抗菌薬の組織移行を不良にすることもある.さらに糖尿病の諸々の合併症による日常活動能力の低下のために,口腔,皮膚,陰部など身体の基本的な衛生を保てないことも患者に不利に作用する.
糖尿病が存在すると各種感染症を惹起しやすいことは,前向きの臨床研究によっても確かめられている1).下気道感染症,尿路感染症,皮膚・軟部組織感染症は糖尿病のない患者と比較して,それぞれ1.3~1.4倍,1.2~3.0倍,1.3~3.5倍と有意に増加する.尿路感染症は男性においても糖尿病が存在すると発症頻度が増加する.興味深いことに,上気道感染症は糖尿病のない対照群との間に有意差を認めない.
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