Japanese
English
研究と報告
マリファナ喫煙により誘発された分裂病の1例
A Case of Schizophrenia Induced by Marihuana Use
植木 啓文
1
,
高井 昭裕
2
,
児玉 佳也
2
,
宮地 幸雄
3
,
吉村 剛
4
Hirofumi Ueki
1
,
Akihiro Takai
2
,
Yoshiya Kodama
2
,
Yukio Miyachi
3
,
Tsuyoshi Yoshimura
4
1岐阜県精神保健センター
2岐阜大学医学部神経精神医学教室
3美濃加茂病院
4岐阜市民病院
1Gifu Mental Health Center
2Department of Neurology and Psychiatry, Gifu University School of Medicine
3Minokamo Hospital
4Gifu City Hospital
キーワード:
Schizophrenia
,
Marihuana psychosis
,
Marihuana
,
Amotivational syndrome
,
Hallucinatory paranoid state
Keyword:
Schizophrenia
,
Marihuana psychosis
,
Marihuana
,
Amotivational syndrome
,
Hallucinatory paranoid state
pp.71-79
発行日 1990年1月15日
Published Date 1990/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902776
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- サイト内被引用 Cited by
抄録 マリファナ喫煙に引き続いて幻覚妄想状態,情意鈍麻,意欲低下状態等を呈し,喫煙中止後も長期にわたってそれらの症状を持続させた症例を報告した。症例の薬物依存はpolydrug型であり,対人的にはasocial型に属しており,薬物依存の予後は楽観できない状況にある。精神病理学的には,分裂病とマリファナによるいわゆる中毒性精神病との鑑別,その際,とりわけ分裂病性の情意鈍麻,意欲低下状態と無動機症状群(amotivational syndrome)との区別が問題となったが,入院時の対人接触性,軽快時の人格変化,精神医学的負因,心理検査所見,さらに妄想出現時のsettingの要因の有無などから,本例は分裂病がマリファナ喫煙によって誘発されたものと推定された。また,マリファナ使用者の年齢のピークが分裂病の好発する青少年期にあたり,特定の脆弱性を持った個体におけるその誘発の可能性が考慮される必要がある。
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.