臨床医のプライマリ・ケア 周産期とプライマリ・ケア
胎児奇形をどうするか
大浜 紘三
1
Kozo Ohama
1
1広島大学医学部産科婦人科学教室
pp.375-379
発行日 1982年5月10日
Published Date 1982/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206617
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人は誰でも皆等しく身心ともに健全な児の出生を強く願っており,分娩を終えた母親の多くがまず最初に,児が五体満足で出生したか否かを尋ねるのも,けだし当然といえよう。それだけに児に奇形を認めた場合には出産の喜びは一転し,産婦だけでなく家族全員が悲しい思いにつつまれ,産科医や助産婦にとってもやり切れない気持となる。特に第1子が奇形児である場合には問題は一層深刻で,次回妊娠に対して極度の恐怖を抱く者もみられ,産科医はそのような患者に対して十分な遺伝相談を行なう必要に迫られる。
しかし,奇形の発生原因は一様でなく,しかも多くの場合その原因究明は不可能であり,そのため次回の妊娠に関して患者が十分納得するような助言を与え得ないこともしばしばである。さらに胎児奇形の出生前診断の限界という問題や,異常と診断された児にどう対処するかという問題など,なお未解決の問題も少なくなく,本題の「胎児奇形をどうするか」という課題に対して必ずしも統一された見解が示されている訳ではない。
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