カラーグラフ
好銀性染色について
鬼頭 花枝
1
1愛知県がんセンター研究所
pp.120-121
発行日 1972年2月15日
Published Date 1972/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907509
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人の手術および解剖材料を用いて染色標本を作製していると,まれならず銀還元性(argentaffin)あるいは好銀性(argyrophil)染色の依頼を受ける.ここでいう銀還元性は細胞内頼粒がアンモニア銀液中でホルマリンなどの還元剤の添加なしに銀イオンを還元する能力を示し,好銀性とは顆粒が還元剤の存在下ではじめて銀を析出することである.それゆえ反応機構上からいっても,銀還元性顆粒が同時に好銀性を示すことは当然であるが,好銀性顆粒は必ずしも銀還元性であるとはかぎらない.実際,強い好銀性を示す細胞でも,全く銀還元性をもたぬことがしばしば観察される(たとえば膵島).
今回私は当がんセンター研究所第1病理部の協力を得て,ここで蒐集されたいわゆるFunctioning tumorsと呼ばれる腫瘍材料を中心に,諸種好銀性染色を実施してみた.原法の染色条件を若干改良して,ほぼ満足できる染色標本を得ることができたので,ここにその概要を紹介し,参考に供したいと思う.
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