症例
術後組織によって診断された莢膜細胞腫の1例
高橋 健太郎
1
,
松井 克明
2
,
村尾 文規
3
,
松永 功
3
,
北尾 学
3
Kentaro Takahashi
1
,
Katsuaki Matsui
2
,
Fuminori Murao
3
1鳥取大学医学部第2生理学教室
2鳥取大学医学部第1病理学教室
3島根医科大学産科婦人科学教室
pp.531-534
発行日 1981年7月10日
Published Date 1981/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206463
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卵巣は,一臓器で多種類の腫瘍が発生するために,その術前診断は困難な場合が多い。卵巣腫瘍の分類には,組織発生によるもの1),または良性,悪性による分け方(表1)2),嚢胞性,充実性による分類法など種々ある。われわれが今回経験した莢膜細胞腫は,組織発生による分類においては,性腺間質系種瘍の女性細胞型腫瘍に属するものであり,顆粒膜細胞腫,顆粒膜・間質細胞腫と同属に分類されている。また本腫瘍は充実性腫瘍であり,さらに良性群に属する腫瘍でもある。
ちなみに卵巣腫瘍において充実性腫瘍と嚢胞性腫瘍との頻度は,表1のように日産婦卵巣腫瘍登録委員会(1961〜1975年度)によると約1:5であり,充実性腫瘍のうちでも約85%は中間群および悪性群であり,約15%が良性群である。このような充実性腫瘍の頻度で,かつ良性腫瘍であるものは比較的まれである。
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