感染症の検査法 Ⅲ 検査法各論
[2]染色法
6)莢膜染色
高橋 長一郎
1
1山形大学医学部附属病院検査部
pp.696-697
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543205015
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多くの細菌はその表層が粘液層で覆われており,ある種の細菌では顕微鏡的にはっきりと膜様(莢膜)となって外界と明らかに区別される.莢膜の典型的に形成されるものは,Streptococcus Pneumoniae(肺炎球菌),Klebsiella Pneumoniae(肺炎桿菌),Bacillus anthracis(炭疽菌)などである.莢膜は動物体内または動物性蛋白含有の培地上で形成され,普通寒天培地上では形成されにくい.
分離・培養したS.Pneumoniaeでは,ほとんど英膜が認められないが,ウサギの新鮮血または血清中で37℃で2時間培養すると著明な英膜が観察されるようになる.一般に培養菌を材料にする場合には水を用いず,ウシまたはウサギの血清を用いて塗抹標本を作る.莢膜染色には,ヒスの方法(Hiss's method)5,6)がもっともよく用いられているが,荒井ら7)の方法も墨汁法とクリスタル紫を組み合わせた簡便な検出法で実用性がある.
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