Modern Therapy リスク症例と手術
リスク症例と手術(総論)
橋本 正淑
1
,
工藤 隆一
1
,
大野 光春
1
Masayoshi Hashimoto
1
1札幌医科大学産婦人科学講座
pp.15-17
発行日 1981年1月10日
Published Date 1981/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206368
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リスク症例とは原疾患を手術的に治療を行なうにあたって,術中・術後に重篤な合併症の原因となるところの他の疾患を有している症例と定義されよう。従って産婦人科手術症例の特徴ともいえる,原疾患が原因の出血性ショックなどの症例は厳密には含まれない。婦人科治療の中で手術の占める役割は大きく,近年人口の高齢化と麻酔学の発達に伴って,以前には考えられないような状態にある症例についても手術が行なわれ,かつ患者側からのneedも高くなっている。しかし手術および麻酔自体が生体にとって大きい侵襲であり,それに種々の他疾患を有している場合,致死的な合併症となりうる危険性が高い。このような重篤な合併症を防ぐためには,術中の管理を専門家に単に委ねるだけでなく,婦人科医がリスクの状態の把握,手術可能な状態への改善,および術中・術後に突発しうる状態を考慮して,それらに対して種々の対策を講じておく必要がある。
リスク症例のおのおのに対しての管理方法については各論で記されるので,以下婦人科手術におけるリスク症例の概要と,リスク症例の発見と把握および留意事項と管理について簡潔に述べたい。
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