特集 産婦人科医に必要な臨床病理の知識
グラフおよび解説
人子宮頸部扁平上皮化生の電子顕微鏡像
橋本 正淑
1
Masayoshi Hashimoto
1
1札幌医科大学産婦人科教室
pp.775-777
発行日 1966年10月10日
Published Date 1966/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203563
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子宮腟部扁平上皮と頸管円柱上皮との境界領域においてしばしば扁平上皮化生なる組織像が見られる。この上皮変化は一般にsquamous meta—plasiaと呼ばれ,Carmichael等によると頸管円柱上皮下で基底膜との間に未分化なbasal cellがあり,本細胞が増殖してsquamous metaplasiaをおこすと述べ,1951年Howardはreserve cellの概念を提唱して本細胞がmultipotentialな変化をなすと述べて以来,世の注目を浴びている。これらreserve cell増殖の各段階の組織像を電子顕微鏡写真により供覧するに先だつて,理解を助けるために,まず最初に正常子宮頸部上皮の微細構造につき述べる。
図1は人子宮腟部重層扁平上皮の浅棘層細胞で広いglycogen野(GL)が認められ,糸粒体(M)はまばらで小胞体(ER)も核(N)周辺にvesi—cularなものがごく少数,種々の方向に走るtono—filament (TF)とRNP顆粒の小集団が認められる。図2は深棘層細胞でglycogen野は乏しく,かわりに発達した細胞間橋(ICB)と,これより放散し,あるいは不規則に走るtonofilament(TF)の充満を認める。
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