特集 卵巣腫瘍の組織発生
Topics
上皮性卵巣腫瘍の組織発生を中心に—超微形態の面から
橋本 正淑
1
,
工藤 隆一
1
,
早川 修
1
Masayoshi Hashimoto
1
1札幌医科大学産婦人科学講座
pp.961-967
発行日 1990年11月10日
Published Date 1990/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900184
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卵巣は胎生学的,解剖学的さらに機能的にも複雑な組織であることから多種多様な腫瘍の発生母地となっている。卵巣腫瘍の組織分類は組織発生の概念も基盤として考慮され,組織分類は予後の評価,治療法を決定するうえで重要である。組織発生に関する形態学的検討方法には光顕レベルでは初期癌の局在部位について検討する方法,腫瘍の組織化学的検討や免疫組織化学的検討を行い,腫瘍に存在する特徴から組織発生を想定する方法がある。また超微形態学的には腫瘍細胞の中に認められる特徴的な超微形態学的所見と類似した所見が正常あるいは胎生期の組織に認められるかどうかを検討して,その組織発生について考察する方法である。すなわち腫瘍化しても正常組織に存在するある種の特徴の存在から組織発生を想定する方法といえる。
本稿では超微形態学的に卵巣腫瘍の組織発生について我々の考えを述べるが,上皮性卵巣腫瘍には多くの組織型があるため,それらのすべての組織発生について述べることは紙面の関係で不可能である。そこで上皮性腫瘍の大部分を占めるserous cystic tumor,mucinous cystic tumorの組織発生を中心に述べる。
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